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緩和ケア病棟の患者さんとのエピソード「同窓会やったんですよ!」

60代、肝臓がんの患者さん。

こないだ話して見つからなかった写真、
あったよ!

部屋に伺うと、旅行の時の写真や、飲み会の写真などスマホに保存されている写真を見せてくれます。
「最後に銚子電鉄も乗ったねー。」
横浜、鎌倉、鋸山(房総半島)など、
「佐倉市のチューリップも見に行ったなー。」
「これは、還暦の時にやった同窓会の写真。」
と言って写真を見せてくれました。ゆうに100人以上いました。

幹事やったんですよ。
病気が分かって、色々な場所を旅行しました。
そろそろ還暦だから同窓会やろう!
と思い立ち行動したそうです。
学年全部の同窓会を計画したんです。
実行までに2年かかったんですよ。
往復はがきを全員に送りました。
同窓会の日を1年前に決めて、みんなに連絡しました。
当日、ドタキャンも覚悟していたんですけどね。
結局、来れなかったのは1人でした。
みんな、集まってくれたんですよ。
同窓会が始まったら、友人が挨拶しろって言うんです。
しょうがないから、舞台に上がって挨拶しました。
そしたら、涙がボロボロでましたね。

胴上げされている写真を見せてくれました。同窓会の最後に仲間が集まってきて突然、胴上げしてくれたそうです。天井にぶつかるくらい、胴上げされてました!


他にも、友人の写真を見せてくれました。
「こいついいやつなんだよ!でも、小指無くてね~」
「こいつはさ、脳梗塞で突然なくなちゃったんだよ…」
「コロナにかかっちゃったあいつ、大丈夫かな」

友人をとても大切にしている方でした。そして、友人からとても好かれている方でした。写真をみながら、笑顔で色々と話しくれました。入院してきた時の印象とは全然違くなっていました。
先週は夜勤があり、緩和ケア病棟へ行けませんでした。夜勤明けで、二日ぶりに緩和ケア病棟へ行きました。この患者さんは、いませんでした。元気なって退院することは無理だろうと医師より本人へ説明されていました。いつ腫瘍から出血して急変してもおかしくない状況でした。最期は奥さんに見守られ、お看取りとなりました。

数回しか話はしませんでしたが、なんだかテンポが合うというか、波長が合うというかとても話しやすい方でした。元気な時に、一緒にお酒を飲みながら色々な事を教えてもらったら、楽しかっただろうなぁと、思いました。今頃、天国で友人とお酒を飲んで談笑していると思います。






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この記事を書いた人

緩和薬物療法認定薬剤師。

1978年に千葉県銚子市生まれ、地元高校へ進学。その後、日本大学薬学部へ入学。卒業後、地元の病院に就職。勤務2年目から緩和ケア病棟を専任し20年。その経験をもとに「病棟で出会った患者さんとの素敵なエピソード」、実際に経験をもとに「緩和ケアに関連する薬の使い方」など情報発信しています。

趣味はスポーツ、アウトドア。高校からラグビーを始め、現在は小学生を対象に銚子ラグビースクールのコーチを務めています。また、「庭で焚火を楽しんで、夜のベットで寝る」程度のアウトドアを楽しんでいます!もう一つのブログ「銚子のぬし釣り」では、その程度のアウトドア情報を発信しています。

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