突出痛の定義
定期的に投与されている鎮痛薬で持続痛が良好にコントロールされている場合に生じる、短時間で悪化し自然消失する一過性の痛み。
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2020年版)
〈解説〉突出痛に関する国際的に統一した定義はないが、近年の研究においてオピオイドをはじめとした鎮痛薬が十分にしようされて持続痛がコントロールされている場合に生じる一過性の強い痛みと定義されている。
緩和医療学会
ガイドライン
「がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン」緩和医療学会が、2018年に改定(発表)されたWHO※のガイドラインをうけて2014年版から2020年版へ6年ぶりに改定されました。
※ WHO ( World Health Organization 世界保健機構 )
ガイドラインは購入できますが、
緩和医療学会から無料で閲覧可能です!
ガイドライン改定で変更になった点
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014年版
〈定義〉持続痛の有無や程度、鎮痛治療法の有無にかかわらず発生する一過性の痛みの増強。 〈解説〉突出痛には統一した定義がない。本ガイドラインにおいては、持続痛に対する痛みのパターンを表す言葉として定義を行った。
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2020年版
〈定義〉定期的に投与されている鎮痛薬で持続痛が良好にコントロールされている場合に生じる、短時間で悪化し自然消失する一過性の痛み。 〈解説〉突出痛に関する国際的に統一した定義はないが、近年の研究においてオピオイドをはじめとした鎮痛薬が十分にしようされて持続痛がコントロールされている場合に生じる一過性の強い痛みと定義されている。
記載方法の変更
2014年版では、定期的に投与されている鎮痛薬が無くても突出痛と呼んでいました。しかし2020年版では、定期的に投与されている鎮痛薬によって持続痛がコントロールされていることが前提になりました。記載方法が「定義を行った」から「定義されている」と変更になりました。断言せずに受け身的な表現になっています。なぜでしょう…、機会があれば学会側へ質問してみたいですね。
断言しなくなりました。
ESMOの臨床ガイドライン (AnnOncol,2018) より
ESMO:European Society for Medical Oncology 欧州臨床腫瘍学会 ・持続痛に対する鎮痛薬は、必要時ではなく、定期的に処方する。とはいえ、実際のところ何もオピオイド鎮痛薬を使用していない患者さんへ、少量から定期的にオピオイド鎮痛薬を使用します。まだ強い持続痛が患者さんや、高齢者など薬物代謝能力が低い患者さんの場合、まず速放性のオピオイド鎮痛薬を頓服で使用を開始し使用する回数が増えてくれば、定期的に投与を開始することもあります。
「定時鎮痛薬の切れ目の痛み」の記載場所が変更
定時鎮痛薬の切れ目の痛み (End-of-dose failure)
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン 2014年版 Ⅱ章 背景知識 1 がん疼痛の分類・機序・症候群
定時鎮痛薬の血中濃度の低下によって、定時鎮痛薬の投与前に出現する痛み。発現が緩徐で持続が最も長い。定時鎮痛薬の増量や、投与間隔の変更に考慮する。
2014年版では、突出痛に分類されていましたが、2020年版では、持続痛に分類に変更になりました。オキシコンチン®錠やタペンタ®錠など、1日2回服用するオピオイド鎮痛薬を服用してる患者さんで、早朝や夕方にレスキューを使用している場合は、定時鎮痛薬の切れ目の痛みかもと考えられる時、1日3回服用へ変更する場合もあります。
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