がん性疼痛に対して、ジクトルテープを使っています。発熱があり、腫瘍熱と診断されナイキサン錠が処方されました。NSAIDsは併用してもいいのかな?
このブログでは、このような悩みを解決します。
こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任して19年。います。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。緩和薬物療法認定薬剤師を取得。
肺がんの患者さんを担当している一般病棟の薬剤師より、質問がありました。この記事ではこの質問に対して、どのように考えていったのか詳しく解説したいと思います。
結論;提案内容
ジクトルテープは中止し、ナイキサン錠を継続することを提案した。
考察
状況の把握
情報がすくなかったので、一般病棟担当している薬剤師へ状況を確認しました。自分の担当する患者であれば、直接本人から情報収集を行います。
腫瘍熱とは
- 1日1回以上、37.8℃以上の発熱がある。
- 感染症の疑いがない
- アレルギー反応ではない。 他
夕方から朝方にかけて発熱し、日中は下がるケースをよく見かけます。
本人の苦痛が強くないようであれば、解熱剤を使用することなくクーリング対応で十分ケアされるケースは多いです。そこで、ナイキサン錠の投与を中止し、クーリング対応で経過観察する方法も考えました。
ナイキサン錠について
なんで、腫瘍熱にナイキサン錠をしようするの?
以前、ナイキサン錠(成分:ナプロキセン)を販売する製薬会社に腫瘍熱に効果がある理由を質問しました。試験をしたり、構造上の違いで特徴があるというわけではないそうです。過去に、腫瘍熱に対してナイキサン錠を投与し腫瘍熱に対して効果があったという報告はあると教えてくれました。もちろん、他の解熱鎮痛剤でも解熱はします。ただ、過去の経験上ナイキサン錠がよく使われいるようです。
緩和ケアの薬物療法においては、過去の薬物療法の報告をもとに選択される場合が多いです。日本のおいて、終末期がん患者を対象に、プラセボ群と比較する試験など根拠を示すような臨床試験を行うことはなかなか難しいですよね。
経験論をもとに、薬物療法が選択される場合は多いです。
NSAIDsの併用について
海外では、高用量のNSAIDsを使用する場合もあるようですが、日本では推奨されていません。一般的に、適応用量より増量したとしても期待する効果がなく、副作用(有害事象)のリスクが増大するデメリットがあります。また、併用することで鎮痛効果よりも、副作用リスクが増えるデメリットがあります。併用するメリットはありません。
疼痛コントロールについて
すでにオピオイド鎮痛剤を使用しており疼痛コントロールは良好です。そもそも、オピオイドのみで疼痛コントロールを継続するケースもあります。
結論;提案内容
ジクトルテープは中止し、ナイキサン錠を継続することを提案した。
ジクトルテープの成分であるジクロフェナクナトリウムは、鎮痛効果は強いですが副作用リスクが大きいです。そこで、今回は腫瘍熱に対する効果、もちろんナイキサン錠も鎮痛効果はありますので鎮痛効果も期待し、ジクトルテープを中止しナイキサン錠を継続することを提案しました。
※ その後の状況については、わかりしだい報告予定です。
このブログを読んでくれた方に、少しでも何かの参考になれば幸いです。
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