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静かな看取り

70 代、腎がんの患者さん。特に苦痛もなく、過ごされていました。衰弱か、がん悪液質か、昨日お看取りとなり退院されました。こういう患者さんに出会うと、考えさせられることがあります。

回診の時、いつも部屋のソファーに座っていました。自宅で過ごしても、問題ないのですが、家族から、自宅退院の希望がありませんでした。

「自宅で過ごした方が良いのになぁ」と思うのは、僕のエゴかもしれません。この患者さんとご家族の間にはどんなことがあったのかわかりません。家族との関係性に影響がでるような生き方をしてきたのかもしれません。患者さんは、病室ですごされていて辛そうな感じは全然ありませんでした。

自宅に帰りたい!と強く言うこともありませんでした。やはり、「自宅で過ごす」ということは、僕のエゴだったのかとは思います。でも、なんだか気になってしまいます。できる限りの資源を活用すれば家族への負担を軽減することもできますし入院費も必要ないので経済的なメリットもあります。でも、全然苦痛がなく落ち着いていても自宅では過ごすのではなく最期まで病院で過ごされる患者さんがいます。極端な話、近くに病院が無ければ入院することもできずに必然的に自宅で過ごすしかないのになぁと、思ってしまうこともあります。

こうやって文章に書くことで、自分の中で少しでもモヤモヤがとれるかなぁとは思います。大きな変革を起こせないですが少しでも「自宅で過ごす」ことに何かできないか考えていきたいです。

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この記事を書いた人

緩和薬物療法認定薬剤師。

1978年に千葉県銚子市生まれ、地元高校へ進学。その後、日本大学薬学部へ入学。卒業後、地元の病院に就職。勤務2年目から緩和ケア病棟を専任し20年。その経験をもとに「病棟で出会った患者さんとの素敵なエピソード」、実際に経験をもとに「緩和ケアに関連する薬の使い方」など情報発信しています。

趣味はスポーツ、アウトドア。高校からラグビーを始め、現在は小学生を対象に銚子ラグビースクールのコーチを務めています。また、「庭で焚火を楽しんで、夜のベットで寝る」程度のアウトドアを楽しんでいます!もう一つのブログ「銚子のぬし釣り」では、その程度のアウトドア情報を発信しています。

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