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がん患者さんから「誰かの役にたちたい」と伝えられ、薬剤師として考えました。

60代、すい臓がん患者Oさん。2ヶ月前に、膵臓がんと診断されました。その後、化学療法を行なっていましたが体動困難、食欲不審にて救急外来を受診、そのまま緩和ケア病棟に入院されました。がんの治療としての化学療法は行わなず、症状あれば緩和していく方針となりました。進行は早く、気持ちの整理も追いついていない、不不安、怒り、受容など色々な感情が変化していると思います。でも、話しておると落ち着いている印象ではありました

オキファストを服用し、疼痛コンロール良好でした。あまり話をしない感じの印象でした。オピオイドは変わっていませんが、様子を見に訪室しました。入院して来た時と比べ、かなり痩せてきていました。会話はできます。薬剤師となっていたので、なぜ化学療法を行ったのか話してくれました。

自己紹介

こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任し19年。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。緩和薬物療法認定薬剤師。

患者さんの言葉

おそれ多いけど、少しでも役にたちたい

頭がもうろうとしますね…
薬剤師さん、この人は部長…

できればこの薬を使って
最初は抗がん剤を使わないとは思ったけど
使えるものを伝えるのも役割です
どのタイミングで使うか

おやじみたいに使わないで
耐えて耐えて、そういったのもありだと思います

大げさに言ってるかもしんなけど
あるかもしれませんね
一般論はね…

話してくれた、そのままの言葉を記録しています。

薬剤師として

がん患者さんは、身体的苦痛以外にも、精神的苦痛、社会的苦痛、スピリチュアルペインなど色々な苦痛(全人的苦痛)を生じます。

「誰かの役にたとう」と思うことで自分の存在価値を見いだすことで、精神的苦痛やスピリチュアルペインを和らげる、本で読んだことがあります。

Oさんは化学療法を行わなくてもよかったけど、病院のために、同じような病気の人のために、効果や副作用の様子など情報提供することで、「少しでも役に立ちたい」といった気持ちもあり、治療に臨んだと思います。

薬剤師として、薬物療法を行う患者さんに関わることはとても勉強になります。そのことを、お伝えました。「ありがとうございます」と気持ちを伝えました。がんでもない健康な薬剤師が、偉そうなことは言えるわけありません。でも「患者さんに寄り添っています」と言う気持ちを伝えることは出来たと思います。

Oさんは、化学療法や鎮痛薬の使用方法など、そういった薬物療法の経験はとても貴重な情報です。これからの、薬物療法を行うために、とても役立つ情報です。本当にありがとうございました!

その数日後、娘さんに見守られお見取りとなりました。ご冥福をお祈り致します。

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この記事を書いた人

緩和薬物療法認定薬剤師。

1978年に千葉県銚子市生まれ、地元高校へ進学。その後、日本大学薬学部へ入学。卒業後、地元の病院に就職。勤務2年目から緩和ケア病棟を専任し20年。その経験をもとに「病棟で出会った患者さんとの素敵なエピソード」、実際に経験をもとに「緩和ケアに関連する薬の使い方」など情報発信しています。

趣味はスポーツ、アウトドア。高校からラグビーを始め、現在は小学生を対象に銚子ラグビースクールのコーチを務めています。また、「庭で焚火を楽しんで、夜のベットで寝る」程度のアウトドアを楽しんでいます!もう一つのブログ「銚子のぬし釣り」では、その程度のアウトドア情報を発信しています。

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