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緩和ケアチームが一般病棟で活動する意味を考えた。

緩和ケア病棟に入院してきた患者さんの、担当医からのスタッフ説明の場面で、「緩和ケアチームが活動する意味」について、ふと思ったことをこの記事では書き記しています。

自己紹介

こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任し19年。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。緩和薬物療法認定薬剤師。

目次

緩和ケアチームが活動する意味

急性期病棟である一般病棟において、終末期のがん患者さんへの関りを考えることができるのが、緩和ケアチームなんだと思います。


担当医のスタッフ説明

僕の勤務している緩和ケア病棟では、新たに入院してくると今までの経過、病状、予後など緩和ケア病棟のスタッフと共有するため担当医より説明が行われます。担当医は「下肢の浮腫が軽減すれば退院を目指します」という説明がありました。しかし、緩和ケア病棟のスタッフは「がん終末期にて状態は悪いので、まずは外出泊などがよいだろう」と提案しました。

一般病棟における緩和ケア

でも緩和ケア病棟は20床あります。それ比べて一般病棟は50床あり、急性期病棟のため症状を治療し退院を目指しています。その一般病棟に1人だけ終末期がん患者さんがいたとします。当然、その患者さん以外の49人の患者さんは必要な治療や検査を行います。検査が多い、色々な薬物療法を行う、時には辛いことがあるかもしれませんが、それ以上に治療効果がでることで、患者さんの生活の質は向上します。

でも、1人だけがん終末期の患者さん、予後は週単位と予測されているとします。その患者さんだけ、検査や治療を必要最小限にすることも必要となってきます。がん性悪液質も進行し、全身状態は悪く血管も細くなり、採血する行為自体が苦痛となってしまう、内服薬を服用すること自体が大変であり、誤嚥性肺炎のリスクもある。 治療効果のメリットより、検査や治療そのものの行為自体が患者さんのデメリットになってしまう。そういった状況です。

一般病棟において、1人だけいる終末期がん患者さんについて検査や治療のデメリットを考えることは、なかなか難しいだろうと思います。 だからこそ「緩和ケアチームが必要なのかなぁ」と思います。緩和ケアチームは病棟に属していないので、そういった50人の中にいる1人に注目して考えていくことが出来ると思います。 一般的に緩和ケア病棟では、終末期がん患者さんの治療や検査を必要最低限にしていきます。常にそういった状況にいると、逆に一般病棟にいるがん患者さんについて検査や治療を減らした方がよいのでは?と過剰に考えていしまうことすらあります。

どこまで治療をするか、どこまで検査をするか、はっきりとした線引きは難しいと思います。簡単に答えはでません。だからこそ、多職種で考えていく必要があると思います。医師は病状の診断し、看護師は生活状況を把握し、薬剤師は薬物療法の必要性を検討し、理学療法士は生活における運動範囲を検討し、栄養士は適正な食事形態を検討し、MSWは、社会的背景を把握し介入する。患者さんの今の状況を正しく判断し、患者さんとその家族と良い関係性を築き患者さんのこれからの生活を考えていく必要があると思います。

マニュアルやガイドラインがないので、どこまで治療をするか、どの治療を控えるのかなど、どんなに経験を積んでも答えを出すことは簡単ではない思います。そこで、緩和ケアチームが活動する意味があるのだと思っています。

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この記事を書いた人

緩和薬物療法認定薬剤師。

1978年に千葉県銚子市生まれ、地元高校へ進学。その後、日本大学薬学部へ入学。卒業後、地元の病院に就職。勤務2年目から緩和ケア病棟を専任し20年。その経験をもとに「病棟で出会った患者さんとの素敵なエピソード」、実際に経験をもとに「緩和ケアに関連する薬の使い方」など情報発信しています。

趣味はスポーツ、アウトドア。高校からラグビーを始め、現在は小学生を対象に銚子ラグビースクールのコーチを務めています。また、「庭で焚火を楽しんで、夜のベットで寝る」程度のアウトドアを楽しんでいます!もう一つのブログ「銚子のぬし釣り」では、その程度のアウトドア情報を発信しています。

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