70代男性の患者さん。入院してきた時は「早く楽にしてほしい、薬使ってください。」と言っていました。今まで、自分で色々やってきて家族に迷惑かけたと言っていました。体が思うように動かなくなってしまった。そんな気持ちになるのは当然です。緩和ケア的にスピリチュアルペインです。しかし、家族と話をしたり医師と話をしたり看護師と話をしたりそうしているうちに気持ちの変化が起きスピリチュアルペインを訴えることはなくなりました。回診の時は笑顔も見せてくれていました。
先々週、患者さんは新聞を見ながら地元で予定されている市長選挙の話をしていました。僕も地元が同じなので候補者の名前はわかっていました。色々と後援していたようで現職市長のいろいろな話をしていました。もちろん、書くことは出来ません!
先週は、外出希望を出されていました。理由はわかりませんが市長選に向けて会合があったのでしょうか。しかし、金曜くらいから状態が変化し傾眠となりました。外出も行くことは出来ませんでした。もしかすると、週末あたりに呼吸停止することも想定される程の状態でした。
昨日(月曜)、傾眠ながらもバイタルは安定し穏やかに眠って過ごされていました。昼間、僕も部屋を訪問しました。穏やかな表情でお休みで目を閉じていました。挨拶しても返答はありません。知っているかもしれませんが、市長選の結果を報告しました。
本日、プライマリーナースだった看護師さんが当直だそうです。最後に、担当してくれていた看護師さんに会って起きたかったのかもしれません。そういえば、以前関わった患者さんが
孫の運動会が日曜日にあるんです。家族は大変だからね、それまでは生きていたいんだよね
と言っていました。運動会が開催された翌日の月曜、穏やかに息を引き取りました。たまに、何かを待ってから誰かを待ってから亡くなる方がいます。緊張感をもっていると気を張っていると身体を保つことができるのかもしれません。そして、最期の目的を果たすと身体は止まるのかもしれませんね。思議と、そういう場面に出くわすことがあります。
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