90代のおばあちゃん、昔は踊りの先生だったそうです。難聴があります。回診時「起こして!起こして!」と言ってきます。こっちの声はなかなか聞こえないのですが、筆談でコミュニケーションはとれます。ここで登場するのが「お絵かき先生」です。小さい頃、遊んでいたペンで書いて、レバーをひくと消えるやつです。仕組みとしては、磁石の力だと思います。医師がお絵かき先生に「まってて」と書くと「はい!」と返事してくれます。とてもクリアに会話できるんです。
数日後「お絵かき先生」は役目を終えました。緩和ケア病棟に行くと、スタッフの伝達に使われているホワイトボードに「死亡確認時間」が書かれていました。お見送りに同席させてもらいました。淡い緑地に桜があしらわれている着物を着ていました。とっても似合っていました。踊りの先生だったので、着物が似合うんですね。以前、部屋に行くと眠っているですが、手は踊っていることがありました。今頃、踊りを誰かに教えているかもしれませんね。
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