【解説】オピオイドが重複しているが整理したほうがいい？

処方内容

肺がんの患者さん。胸部の痛みがあり、疼痛コントロール不良でした。もともと、トアラセット配合錠を服用していましたが、MSコンチンが追加されました。またロキソニン錠も服用していましたが、ジクトルテープが開始されました。この時、悪心があり、プリンペラン錠も頓用で処方されました。

考えるべき点

同効薬の併用は、相乗的な鎮痛効果を期待するよりも、有害事象リスクが増大してしまう可能性のデメリットが高いです。そまた、がん性疼痛は今後強くなり更なる用量調整が必要となる可能性もあります。追加されたばかりだったため、ここで整理しておいた方が、後々も薬物療法を考えやすいと思い、処方提案をしました。

結論：提案内容

アセスメント

NSAIDsの併用

複数のNSAIDsの併用は消化性潰瘍発症のリスクを高める

重篤副作用疾患別対応マニュアルより

より鎮痛効果が得られる場合も考えられるが、それ以上に有害事象のリスク増大のデメリットが高く、通常NSAIDsの併用はしません。そこで、どちらか片方を中止することを提案しました。この時、悪心もあり内服することも大変と考え、内服より貼付剤であるジクトルテープを提案しました。

弱オピオイドと強オピオイドの併用

基本的に、オピオイドの併用はダメではありませんが、以下の理由から推奨されていません。トアラセット配合錠はアセトアミノフェンを含有しているため、カロナール錠を追加を提案しました。トラマドールをモルヒネ内服に換算し増量すること考慮しましたが、増量したばかりだったこともあり、まずは今回は上乗せはせず、カロナール錠の追加のみとしました。

強オピオイドの併用

先ほどの理由から、モルヒネ製剤であるMSコンチン錠を定期投与しているため、レスキュー薬であったオキノーム散をオプソ液への変更を提案しました。

制吐剤の併用

ノバミン錠を服用しても悪心は軽減しておらず、プリンペラン錠が追加されました。ダメではないと思いますが、お互いに錐体外路症状の有害事象発現リスクもあるため、ノバミン錠を中止しオランザピン錠への変更を提案しました。プリンペラン錠の頓用使用については継続としました。

結論

以上の提案を医師と相談し、以下の通り処方変更となりました。