オキシコドンとトラマールは併用する?
本記事では、上記のような悩みを解決します。
こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任し19年。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。2023年、緩和薬物療法認定薬剤師取得。
結論
提案内容
弱オピオイドと強オピオイドのオピオイドを併用するメリットは少ないので、トラマドールをオキシコドンに換算して切り替えることを提案しました。
(処方)
トラマール錠50㎎ 1回1錠 1日3回 (150㎎/日)
オキシコンチン錠10㎎ 1回1錠 1日2回 12時間おき
(提案内容)
トラマール錠を中止、オキシコンチン錠を20㎎/日増量する。
オキシコンチン錠20㎎ 1回1錠 1日2回 12時間おき
オピオイド換算
(オピオイド換算)
トラマドール内服:モルヒネ内服=5:1
トラマドール150㎎=モルヒネ内服30㎎
モルヒネ内服:オキシコドン内服=3:2
モルヒネ内服30㎎=オキシコドン内服20㎎
オピオイド
オピオイドとは
オピオイドとは、中枢にあるオピオイド受容体に作用して鎮痛効果を発揮する鎮痛薬です。WHOの鎮痛薬分類では、弱オピオイドと強オピオイドに分類されています。
弱オピオイド
- コデイン
- トラマドール
強オピオイド
- モルヒネ
- オキシコドン
- フェンタニル
- ヒドロモルフォン
トラマドールについて
作用機序
コデイン類似の合成化合物です。μオピオイド受容体に対する弱い親和性と、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害作用を併せ持ち鎮痛効果を発揮します。
痛みを軽減する「下降抑制系」を賦活する作用があります。抗うつ薬を神経障害性疼痛に投与する効果と同じです。
トラマドールは肝臓(CYP2D6)で代謝されます。代謝物であるモノ-O-脱メチル体(M1)は活性をもち、トラマドールの数倍の鎮痛効果を発揮します。ただ、日本人の20~40%はCYP2D6が少ないため、トラマドールがM1に代謝されず、鎮痛効果を充分に発揮しない可能性があります。
約3割の日本人において、トラマドール製剤と使用しても痛みが軽減されずらい可能性があります。
トラマドールのメリット
がん性疼痛に使用する鎮痛薬の多くは法律で麻薬に指定されています。でも、トラマドールは麻薬に指定されていません。麻薬ではないので、車の運転、海外への持ち出しなど規制はなく、通常の薬と同じ扱いで使用できるメリットがあります。痛みが強くないよう出れば、麻薬性鎮痛薬を使用するのではなく、非麻薬性のトラマドールを選択することは、生活をしていく上で患者さんにメリットがあります。
オピオイドを服用して万が一事故を起こしてしまった場合、道路交通法で罰せられる可能性があります。
オキシコドンについて
特徴
アヘンからモルヒネを精製する段階で生成されるテバインから、合成された半合成鎮痛薬です。強オピオイドに分類されます。オキシコドンは肝臓でCYP2D6、およびCYP3A4によって非活性代謝ぶつに代謝されます。そのため、CYP2D6やCYP3A4を阻害、あるいは誘導する薬剤と相互作用に注意が必要です。
オキシコドンと禁忌となるほどの相互作用はありませんが、期待していた鎮痛効果が少ない場合は、相互作用を確認したほうが良いです。
弱オピオイドと強オピオイドは併用するか?
推奨
がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン(2014年版)より
- あるオピオイドで適切な鎮痛効果が得られない患者において、他のオピオイドに変更することは、痛みを緩和するか?
-
痛みを緩和するかどうかについて、根拠は不十分である。専門家に相談した上で、他のオピオイドを追加する。(弱い推奨、とても低いエビデンス)
オピオイドを併用するデメリット
- 複数のオピオイドによる有害事象発現リスク
- レスキュー薬やタイトレーションを行う時に換算が大変
オピオイドを併用することは、必ずしもダメというわけではありませんが、併用するデメリットを考慮して、1種類のオピオイドで用量調整していくことを提案しています。
だめじゃないけど、あえて併用するメリットもないです。
もしかすると、トラマドールをオピオイドとおもっていないのかなぁとも思います。
提案内容
弱オピオイドと強オピオイドの併用するメリットは少ないので、トラマドールをオキシコドンに換算して切り替えることを提案しました。
(処方)
トラマール錠50㎎ 1回1錠 1日3回 (150㎎/日)
オキシコンチン錠10㎎ 1回1錠 1日2回 12時間おき
(提案内容)
トラマール錠を中止、オキシコンチン錠を20㎎/日増量する。
オキシコンチン錠20㎎ 1回1錠 1日2回 12時間お
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