オキファスト®注を1日60㎎投与しています。
レスキューを1日10回くらい使っています。
増量はどのくらいしますか?
通常、増量は20~30%ずつ増量する。
オキファスト®注を1日量として80㎎へ
増量してみてはどうだろう。
痛みの原因を確認する
消化器内科病棟を担当している薬剤師より相談がありました。胆のうがん、下腹部痛あり。原因はまだ不明でした。骨盤内は多くの神経によって臓器が支配されており疼痛が出現した場合、神経障害性疼痛の可能性があり疼痛コントロールが難しい場合があります。もしかすると、オピオイドの効きづらい疼痛かもしれません。今回は、神経障害性疼痛に対してサインバルタ®カプセル(デュロキセチン)1日20㎎投与されていました。もちろん、オピオイド増量による効果は期待できると思いました。
ちなみに、サインバルタ®カプセルを増量する場合、1週間以上の間隔を空けて、1日用量として20㎎ずつ増量します。
効果と副作用の確認
副作用発現はないか?
レスキューの効果があるのか?
もし、眠気が強く出ている、またレスキューが全く効果がないと、オキファスト®注の効果が乏しい可能性があります。
となると、オピオイドスイッチング、他のオピオイドに変更することを検討します。今回の場合、眠気はなく、レスキューを使えば少しは除痛が図れているとのこと。となると、増量を検討してもよいと思いました。
増量幅について
オキファスト注の添付文書の用法用量より、1日にどのくらいまで投与出来るか確認すると、「通常、1日7.5~250㎎を投与する。」となっています。オピオイドは上限がないと教科書に書いてありますが、添付文書に用法用量は書いてあります。これは、80%程度の患者さんに対して、250㎎まで使用すれば除痛が図れましたよといった意味あいで書かれています。今回の患者さんは、まだまだ増量を検討する余地はありました。 オキファスト®注の添付文書には、1日投与量の25~50%増を目安として増量を行うこと。となっています。
50%増慮してもいいのか?
増量幅があり、50%増もよいとなります。これは少量投与の時に、増量する割合です。オキファスト®注 を1日量10㎎とします。ここで増量を検討した場合、25%増では1日量12.5㎎になります。実際に注射薬を調整するとなると オキファスト®注 10㎎/1mLを2.5mL追加することになります。また、増量が微量すぎます。そこで、15㎎増量します。または、疼痛が強ければ
20㎎へ増量する場合もあります。
オキファスト®注 を1日量100㎎とします。ここで増量を検討した場合、20~30%増量を検討します。1日量として120㎎~130㎎となります50%増としてしまうと1日量150㎎となり、増量幅が大きくなります。
すなわち、投与を始めた頃は増量幅50%だが投与量が増えてきたら20~30%の増量を検討します。ちなみに、どこまで増量した段階で、オピオイドスイッチングを検討するのか?目安としては、添付文書にあるように1日量として250㎎までは増量する余地はあります。
処方例
オキファスト®注 10㎎/1mL 1A
オキファスト®注 50㎎/5mL 1A
生理食塩水20mL 18mL (全量24mL)
持続静注 投与速度 1mL/時
1日量80㎎へ増量する場合
オキファスト®注 10㎎/1mL 1A
オキファスト®注 50㎎/5mL 1A
生理食塩水20mL 18mL (全量24mL)
持続静注 投与速度 1.3mL/時
投与速度を30%増量することでオキファスト注1日量78㎎となります。この場合、24時間投与することが出来なくなり
新たに注射薬を調整する必要があります。
オキファスト®注 10㎎/1mL 3A
オキファスト®注 50㎎/5mL 1A
生理食塩水20mL 16mL (全量24mL)
持続静注 投与速度 1.0mL/時
濃度を30%増量することでオキファスト注1日量80㎎となります。処方例①と②どちらが良いかといえば、どちらでも構いません。処方する医師、調整する病棟の安全面を考慮して運用しやすい方法でよいと思います。
今回は、濃度を変更することで1日量80㎎へ増量になりました。今後も、レスキューの使用状況を確認しながら、タイトレーション(用量調節)は必要です。
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