このブログは、緩和ケア病棟で出会った患者さんのエピソードを記録しています。
こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任し19年。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。
緩和ケア病棟に入院しているおじいちゃんやおばあちゃんは「家族に迷惑をかけたくない」と、病室で一人で静かに過ごされています。
まだ、短い距離であれば自立歩行出来たとしても「家族に迷惑をかけたくないから外出は希望しません」と、お話してくれます。
例外はあると思いますが、だれもが家族がそばにいてくれたら嬉しいと思います。データはとっていませんが、家族が付き添っていると夜間せん妄を起こすことなく、ゆっくりと寝ている方が多いのは事実です。
夜間せん妄がひどく、薬をつかっても治らない患者さんでも家族が一緒に泊まると静かに寝ている方が多いのも事実です。この事は、付き添われているご家族に説明するようにしています。
体力が落ちているので、目を開けるだけでも大変なんだと思います。言葉に出すことも体力を使います。だらか、話は出来ないですが、ご本人さんが静かに過ごされているのはご家族がそばにいるからだと思います。
意識にムラがありますが、目を閉じていても、周りの気配は感じています。だから、そばいるだけで十分です。手を握ったり、声をかけたりすることは、薬では到底太刀打ち出来ないくらいの効果があるんです。
ご家族さんは、何も出来ていないと言いますが、居ることが出来ています。居ることで患者さんが安心して、過ごされているんだと思いますよ。
しかし、日本の文化というのでしょうか。多くの患者さんは、「自分は心配いないから付き添わなくていいよ」と思っています。ほとんどのご家族の方は、付き添ってあげたい最期くらいはそばにいてあげたいと思っていると思います。
その事が、おじいちゃんやおばあちゃんには伝わっていないのです。日本の文化的に、多くは語らかい美学があります。もちろん、付き添わないことがダメということはありません。
ただ、家族がいたら、患者さんはよりよい時間が過ごせると考えることは間違っていないと思います。うまく行かないことも多いですが、医師や看護師、もちろん薬剤師からでも、患者さんの気持ちをご家族に伝えていくとご家族が理解してくれ、付き添ったり、外出にでかけたりするケースがあります。
患者さんの気持ちを確認して、ご家族の気持ちを確認して、スタッフが橋渡しになれれば、患者さんもご家族も良い時間が過ごせる可能性が増えるなぁと思います。
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