オキシコンチンを1日10㎎飲んでいます。
ナルサス錠へ変更するにはどうする?
本記事では、上記のような悩みを解決します。
こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任し19年。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。緩和薬物療法認定薬剤師。
結論 (提案した処方)
ナルサス®2㎎ 1回1錠 24時間毎 又は、ナルサス®錠㎎ 1回2錠 24時間毎 ナルラピド1㎎ 1回1個 疼痛時 1時間あけて繰り返し内服可
患者背景
オキシコンチン®5㎎ 1回1錠 1日2回
オキノーム®2.5㎎ 1回1包 疼痛時 他
70代女性、大腸がんの患者さん。右側腹部痛の訴えがありました。自宅では、医療用麻薬ということで、麻薬に対する偏見から自己判断で服用を中止していました。入院後、看護師さんによる服薬管理にて、服用状況は良好、疼痛コントロール良好にて経過していました。
麻薬の偏見をなくすための服薬指導
10年前に比べると、「緩和ケア」や「終活」など本やテレビなどで取り上げられる場面は多く見かけます。そして医療用麻薬は世の中に知られるようになってきましたが、未だに昔から言いつがえれている誤解から、服用していない患者さんによく出会います。以下の内容は、すべて誤解です。
・幻覚がみえる
・依存する
・寿命が縮まる
医療用麻薬(モルヒネなど)をはじめて使用するときに
OPTIM 「緩和ケア普及のための地域プロジェクト」
そこで、患者さんに医療用麻薬について正しく理解してもらい、不安なく内服を継続することで疼痛を緩和できるよう、説明しました。
幻覚は見えません、依存も起きません。
がんの痛みに対して、緩和ケアを専門としている医師から処方されています。また、少量から投与し痛みに合わせて、痛みが取れるまでの薬の量を調整します。外来に通院しながら、医療用麻薬を服用している患者さんはたくさんいます。外来待合室で、幻覚を見ている患者さん、依存を起こしている患者さんを見かけることはないですよね。
寿命は縮まりません。
痛みがある状態は、体に負担になり良い状態とはいえません。痛みをとることで、生活はしやすくなるので、縮まることはありません。実は、医療者でさえ、寿命を縮めてしまうと思われています。そこで、医療者への研修会等の場で以下の内容についてお話しています。
鎮痛薬を適切な量で使ったことが死を早めることになったとしても、それは過量投与によって意図的に命を絶つことと同じにならない。適切な痛みの治療法が死を早めることになったとしたら、尊厳ある、容認できる生活状況を維持するのに必要な治療手段にさえ耐えられないほど、患者の状態が悪化していたことを 意味するだけである。(WHO1990)
副作用は心配いりません。便秘、嘔気の副作用の心配はありますが、下剤や吐き気止めを使用することで、副作用症状は軽減します。心配ありません。
痛みをとることでの「メリット」を説明する。
医療用麻薬を服用することで、疼痛が軽減でき、生活しやすくなることを説明します。目的は、生活の質の向上です。ただ、薬飲んでくださいと説明するより、その先の生活の質の向上を目的として、薬を飲むことを説明することで、患者さんへ服用を促す効果があります。
以上、服薬指導を行い、患者さんの不安を取り除いていきました。現在は、オキシコンチンを服用していますが、拒否なく内服を継続しています。そして、担当医へナルサスの処方提案を行いました。
オピオイドの換算
オキシコンチン®10㎎/日 = モルヒネ内服 15㎎/日
モルヒネ15㎎/日 = ナルサス®3㎎
ナルサス®の採用薬は、2㎎、6㎎、12㎎、24㎎
(ナルサス®は粉砕及び、半錠可はできません)
ナルサス®2㎎ 1回1錠 24時間毎 又は、ナルサス®錠㎎ 1回2錠 24時間毎
ナルラピド®1㎎ 1回1個 疼痛時 1時間あけて繰り返し内服可
オピオイドを換算する時、モルヒネ内服を中心に計算すると考えやすいのでオススメです。ナルサス®を1日2㎎するか、4㎎にするかは、どちらでも問題ありません。現状で疼痛強いようであれば1日量として4㎎で良いと思います。疼痛コントロール良好であれば、少量から始めた方がより安全に切り替えることができます。患者さんの状況によって、用量を決定します。この患者さんは、1日1回疼痛時の薬剤を服用していたことから、ナルサス®4㎎/日で開始して問題ないと思います。
レスキュー※について。通常、ベースの1/6量、10~20%程度を目安に処方されます。ナルサス®2㎎1回1錠に対するレスキューは、ナルラピド®1㎎ 1回1個になります。ベースの1/2量ですが、ナルラピド®を半分に割ることはできませんので、問題ありません。
※ 疼痛時に頓用として服用する薬剤
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