静脈ルートの確保ができないので
ソリタT3輸液を皮下投与できるかな?
本記事では、上記のような悩みを解決します。
こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任し19年。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。
がん終末期、全身状態の悪化、脱水による影響で静脈ルートを確保することが困難になってきます。ルート確保を繰り返すことは、患者さんにとってデメリットとなります。そこで、静脈内注射ではなく皮下注射はとても有用な方法となります。しかし、実際に皮下注を行う場合、点滴速度や適応などきになると思います。そこで、本記事では維持輸液の皮下注について解説します。
実際の処方例
ソリタ®T3号輸液(200mL) 持続皮下投与 投与速度8mL/h
がん終末期において全身状態の悪化、脱水などから点滴ルート確保は困難になってきます。そこで、適応外使用となりますが、必要最低限の水分補給目的で持続皮下投与することがあります。
投与部位は上腕です、刺入部がむくんでくるようであれば、腹部、大腿部などへ変更することもあります。
上腕から投与し刺入部がむくんでくるようであれば、腹部、大腿部などへ変更することもあります。実際、投与速度20mL/hで投与しています。
皮下輸液法
投与方法
- 1mL/分の滴下速度(1.5mL/日まで)
- 500mL/hの投与速度を超えない
- 1~4日ごとに注射針、チューブを交換する
- 挿入部の浮腫、発赤、痛み、感染などを観察する
日本緩和医療学会のガイドラインを参考にしています。
「終末期がん患者の輸液療法に関するガイドライン(2013年版)」 2章 背景知識 7.皮下輸液法
オピオイドの投与速度について
国立がんセンター中央病院緩和ケア科オピオイド換算表にオピオイドを皮下注する場合の投与速度設定の記載があります。
- 1mL/h以下に設定すること
自施設の緩和ケア病棟では、実際のところ0.3~0.5mL/hで投与速度を調節しています。皮下注の投与速度が大きいと、挿入部の痛みを訴える患者さんはいます。がん終末期では皮下脂肪も少なくなっており、微量であっても刺激が大きくなります。実際に0.1mL単位で流速を減量するだけで、挿入部の痛みは軽減します。
痛みの強さに合わせてオピオイドをタイトレーション(用量調整)するため、投与速度は増えていきます。流速が大きくなるようであれば、濃度を濃くして、流速を下げるように担当医へ相談します。濃度を2倍にして、速度を1/2にすれば、1日投与量は変わりません。
モルヒネ注(10mg/1mL) 1A+NS 9mL (全量10mL)
持続皮下注 0.6mL/h モルヒネ注14.4㎎/日
モルヒネ注(10mg/1mL) 2A+NS 8mL (全量10mL)
持続皮下注 0.3mL/h モルヒネ注14.4㎎/日
0.6mL/h×24h=14.4mL
1回10mLに調整しているため、1日に2回交換となります。
速度調整することで、業務負担も軽減します。
添付文書上、皮下投与が可能な薬剤
- 生理食塩液
- モルヒネ
- ペンタゾシン
- クロルフェニラミン(ポララミン®)
添付文書上、適応外使用だが投与可能な薬剤
経験的に使用されているが、安全であることを保障している論文はありません。
- 等張液(5%ブドウ糖液、1・3号液、リンゲル液)
- ミダゾラム(ドルミカム®)
- ブスコパン®
- ジフェンヒドラミン(トラベルミン®)
皮下投与の参考書
実際の臨床経験から書かれている本で、とても参考になります。以前、抗てんかん薬のレベチラセタム(イーケプラ®)を静脈投与している患者さんの投与経路を検討するときに活用しました。
家族の精神的ケア
予後が短くなると、代謝の低下もあり浮腫、胸水や腹水の貯留を悪化させてしまうデメリットもあり、実際に維持液を投与するメリットはほとんどありません。しかし、「少しでも治療をしてあげたい!」と思うことはごく自然なことです。ご家族の気持ちの寄り添うという、家族の精神的ケアというメリットを考え少量の維持輸液の投与を行います。
しかし、患者さんにデメリットの方が大きいと判断するときは担当医よりご家族へ輸液を続けることのメリット、デメリットを説明し、ご家族の納得した上で輸液を全く投与しない場合もあります。
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