セレネース注の配合変化?
本記事では、上記のような悩みを解決します。
こんにちわ、iwata(@iwamegane)です。薬剤師として緩和ケア病棟を専任し19年。その経験をもとに、患者さんとのエピソード、緩和ケアに関連する薬について情報発信しています。
医薬品情報
セレネース注®5mg ハロペリドール注射液
■ 効能・効果 抗精神病薬、そう病
■組成・性状
成分・含量1アンプル1mL中ハロペリドール5mg
pH 3.5~4.2
名前の由来
Serene(静かな、穏やかな)+ ace(優秀な)で
すぐれた鎮静・静穏化剤の意味をもつ。
使用される場面
抗精神病薬のセレネース注は、せん妄に対して使用します。精神科領域において使用されますが、がん終末期せん妄に対しても使用されます。
がんの痛みを緩和するためにオピオイド鎮痛薬が投与される場面は多いです。そこで、オピオイドの注射薬に混合し使用される場面は多いです。以下、処方例です。せん妄が生じた場合に使用しますが、せん妄を予防するために少量(セレネース注 0.5A)を投与します。
- がん終末期せん妄対策、及び予防に使用される。
モルヒネ注(10㎎/1mL)1A
セレネース注®(5mg/1mL)0.5A
注射用水 4.5mL
/ 全量 6mL(10mLシリンジ使用)
持続皮下 投与速度 0.15mL/時 (モルヒネ注1.2mg/日)
全量を6mLにするメリット
0.05mL/時 ✕ 24時間(1日) =1.2mL/24時間(1日) 20%
0.10mL/時 ✕ 24時間(1日) =2.4mL/24時間(1日) 40%
0.15mL/時 ✕ 24時間(1日) =3.6mL/24時間(1日) 60%
0.20mL/時 ✕ 24時間(1日) =4.8mL/24時間(1日) 80%
0.25mL/時 ✕ 24時間(1日) =6mL/24時間(1日) 100%
1日の投与速度が0.25mL/時とすると、0.25mL/時 ✕ 24時間(1日) =6mL/24時間(1日)と1日で6mL全部を使用することになり1日でモルヒネ10㎎を使用することになります。
また、慣れてくると濃度と速度の計算をすることなく1日投与量を把握することが出来ます。例えば投与速度が0.15mL/時であれば、1日で10㎎の60%を使用した、イコール1日で6㎎を使用した、と計算しやすいメリットがあります。
また、20%ずつ増減ができることは、安全な増減幅で、調整しやすいという利点もあります。
- 1日量の計算が簡便
- 20%ずつ増減ができる
セレネース注の配合変化
インタビューフォームに記載されています。
・生理食塩液 0.5~1.5mL
結晶種を加えると直後に細かい結晶が析出
・生理食塩液 2~3mL
結晶種を加えてもすぐには結晶が析出しなかったが
一晩放置すると燐片状の結晶(塩酸塩)が析出
・大塚生食注 20mL 外観 無色透明
・生理食塩液 500mL 外観 無色透明
・大塚蒸留水 0.5~2mL 外観 無色透明
・ワッサー フソー20mL 外観 無色透明
混合する溶液 | 結果 |
---|---|
生理食塩液 0.5~1.5mL | 結晶種を加えると直後に細かい結晶が析出 |
生理食塩液 2~3mL | 一晩放置すると燐片状の結晶(塩酸塩)が析出 |
大塚生食注 20mL | 外観 無色透明 |
生理食塩液 500mL | 外観 無色透明 |
大塚蒸留水 0.5~2mL | 外観 無色透明 |
ワッサー フソー20mL 外観 無色透明 | 外観 無色透明 |
混合する溶液を生理食塩液にした場合、微量だと配合変化する可能性があります。そこで、注射用水を使用しています。基本的に、混合する溶液は浸透圧に差があると刺入部に痛みが出るので、浸透圧が同じ生理食塩液を使用します。しかし、皮下投与する場合は、浸透圧の影響は少ないので問題ありません。
(参考:注射が痛い本当の理由 ちっくんの相談室より 佐藤製薬)
実は、セレネース注と少量の生理食塩液を混合したことがあります。その時、結晶の析出はみられませんでした。しかし、配合変化を起こしてしまう可能性はあるので、より安全に投与するたけに注射用水に混合することをお勧めします。
少量の生理食塩液は配合変化の可能性あり!
コメント